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"ビジョン・プロセシング"マガジン『未来からの問い』
【未来からの問い】歴史からわかる「発達」の価値
  発行日: 2025年03月16日
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”ビジョン・プロセシング”マガジン
『未来からの問い』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━    2025.3.16  Vol.160

1.歴史からわかる「発達」の価値 ・・・「成人発達理論」×「コーチング」プログラムの作り方、お見せします:その4


「その問題を生み出した思考レベルでは、その問題を解決することができない。」
これはアインシュタインの有名な言葉です。
一見、抽象的に聞こえますが、発達のプロセスを考える上で非常に示唆に富んでいます。
たとえば、売上が伸び悩んでいる営業担当者がいるとします。「どうすれば売上を上げられるか?」と悩み続けても、そもそも「売上を上げること」自体を目的とした思考レベルそのものが、「売上が上がらない」という問題を生んでいたり、顧客目線に立つこともできずに、結局打開策を生み出せない、という感じです。

このように、私たちは自分の思考レベルの限界の中で問題を生み出し、同じようなことを繰り返してしまうということは、自分自身の生活においても、身近なコミュニティ・組織においても、そして社会全体においても度々起こっています。そしてあるとき、その思考レベルを超えて新たな次元でその問題を解決できるようになる。これが「発達」の現象であると言えるでしょう。

では、このプロセスを個人ではなく社会全体の歴史に当てはめるとどうなるでしょうか。社会は、ある時点では解決できなかった問題を、新たな思考レベルを獲得することで解決し、前へ進んできました。しかし、その進歩が新たな問題を生み出すこともまた事実です。

■歴史的な発達のプロセス
歴史を振り返ってみると、社会は異なる発達段階を経てきたといえます。
これらの各段階は、それ以前の問題を乗り越えつつも、新たな課題を生み出してきました。

・レッド(力こそすべての時代)
→ この段階では、部族間の争いが絶えませんでした。
・アンバー(法と秩序の時代)
→ 法が整備されていく一方で、王族や軍といった特権階級に権力が集中し、不平等が生じはじめます。
・オレンジ(合理性の時代)
→ 科学と合理性によって、データと分析を用いた問題解決が図られようとします。しかし、データ化しにくい要素は軽視され、弱者が取り残されたり、環境破壊といった「負の外部性」が発生します。
・グリーン(多元主義の時代)
→ 多様性を尊重し「絶対的なもの」を否定することで、弱者も含めた全てが尊重される共生を目指そうとします。

すべての国や社会がこのプロセスをたどっているわけではなく、また直線的に発展しているとは限りません。進んでは戻ることを繰り返している場合も大いにあるでしょう。しかし、重要なのは、社会が抱える根深い問題に対するアンチテーゼとして新たな価値観が生まれ、それらを乗り越えつつ包み込む形でジンテーゼが生み出され、変化し続けてきたことです。このプロセスは、歴史の中で何度も繰り返されてきました。

■発達は「意味がある」のではなく、「そうなっている」
こうして歴史の流れを見てみると、「成人発達理論には意味や価値があるのか?」という問い自体が、あまり意味を持たないことがわかります。なぜなら「発達」とは、現在の限界を超えつつ、それを包摂する形で進んでいく絶え間ないプロセスであるからです。言い換えれば、発達は「意味があるから起こる」のではなく、「人間の特性としてそうなっている」と考えるほうが自然かもしれません。

■発達は「是」か「非」か?
「これまでの思考レベルを超えて問題を解決するなら、それは進化であり、価値があると言えるのではないか?」このように思う方もいるかもしれません。しかし、新しい思考レベルに到達すると、それまでとは異なる種類のより複雑な問題が発生するのも事実です。
そこで、アインシュタインの名言に僭越ながら、あえて一文付け加えるとすれば、「その問題を生み出した思考レベルでは、その問題を解決することができない。しかし、解決した後は、さらにその思考レベルでは解決できない複雑な問題が出現する。」と言えるかもしれません。
歴史は、私たちが発達してきた軌跡を示しています。そして、それと同時に、発達した私たち自身の手で新たな問題を生み出してしまうことも示しています。

発達を遂げることは、本当に「よいこと」なのでしょうか?それとも、発達は避けられないものとして、ただ受け入れるべきものなのでしょうか?この問いに対する答えは、証明できるものではなく、私たちがどの立場を選ぶかにかかっているのかもしれません。


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          【未来からの問い Vol.160 】           
                                
あなたは、発達を遂げることを「選択」できるものだと思いますか? 
それとも、発達は「避けられない」ものだと思いますか?
                                
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会 場:KFC Hall&Rooms(両国)
参加費:58,300円(税込)
<詳細・お申し込み>
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”ビジョン・プロセシング”マガジン
『未来からの問い』
●発行責任者:山根 恭子
●発行元:オーセンティックワークス株式会社
●事業内容:組織進化コンサルティング
 オーセンティックワークスは、社会変容テクノロジー「U理論」
 を活用したプロセスコンサルテーションによって「ソーシャル
 フィールド(社会的な場)」を転換し、他責・対立・迷走等、閉塞
 感のある組織を創発的な組織へと進化させます。
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